[Excel]アレニウスの式により2つの温度間の化学反応速度の比を計算するカスタムワークシート関数

2020年11月29日

概要

アレニウスの式により、2つの温度間の化学反応速度の比率を計算するカスタムワークシート関数ARRHENIUSRATIOを作成しました。2つの温度間の反応速度の比を求める場合はARRHENIUSカスタムワークシート関数をご使用ください。

機能

アレニウスの式により、熱力学温度及び活性化エネルギーを使用して、2つの温度間の化学反応速度を算出します。活性化エネルギーの単位はジュール/モルまたはジュール/粒子(原子,分子,イオン等)に対応しております。活性化エネルギーの単位がジュール/モルの場合、計算に使用する気体定数は8.31446261815324です。また、ジュール/粒子の場合、計算に使用するボルツマン定数は1.380649×10^-23です。

計算式

2つの熱力学温度\(T_{1}\)及び\(T_{2}\)の化学反応速度定数\(k_{1}\)及び\(k_{2}\)の比\(\frac{k_{2}}{k_{1}}\)の式を下記に示す。

\( \Large{ \frac{k_{2}}{k_{1}} } \normalsize{=exp} \Large{ ( \frac{Ea}{R} ( \frac{1}{T_{1}} – \frac{1}{T_{2}} ) ) } \)

\( A:頻度因子 \)
\( Ea:活性化エネルギー(J/mol) \)
\( R:気体定数(8.31446261815324)(J/(K \cdot mol)) \)
\( T:熱力学温度(K) \)

または

\( \Large{ \frac{k_{2}}{k_{1}} } \normalsize{=exp} \Large{ ( \frac{Ea}{K_{B}} ( \frac{1}{T_{1}} – \frac{1}{T_{2}} ) ) } \)

\( A:頻度因子 \)
\( Ea:活性化エネルギー(J/particle) \)
\( K_{B}:ボルツマン定数(1.380649×10^{-23})(J/K) \)
\( T:熱力学温度(K) \)

構文

ARRHENIUSRATIO(頻度因子, 絶対温度, 活性化エネルギー, 活性化エネルギー単位 )

引数説明引数の指定既定値
基準温度基準となる温度を熱力学温度(絶対温度)で指定します。
セルシウス度(℃)を熱力学温度に変換する場合は、セルシウス度に273.15を加算して下さい。
必須(無し)
比較温度比較する温度を熱力学温度(絶対温度)で指定します。
セルシウス度(℃)を熱力学温度に変換する場合は、セルシウス度に273.15を加算して下さい。
必須(無し)
活性化エネルギー活性化エネルギーを指定します。第4引数を省略した場合、活性化エネルギーの単位はJoule/molです。必須(無し)
活性化エネルギー単位活性化エネルギーの単位を整数で指定します。
 1 : joule/mol(ジュール/モル)
 2:joule/particle(ジュール/粒子(原子,分子,イオン等))
省略可能1

コード

下記のコードを全てコピーし、標準モジュール等に貼り付けて下さい。下記のコード表示欄の右上に「Copy」ボタンがありますのでご使用下さい。なお、標準モジュールが何だか分からない方は、 Excelのカスタムワークシート関数を使用する方法 を参照して下さい。

'* @fn Public Function ARRHENIUSRATIO(ByVal T1 As Double, ByVal T2 As Double, ByVal Ea As Double, Optional ByVal EaUnits As Long = 1) As Variant
'* @brief アレニウスの式より、2つの温度間の化学反応速度の比を求めます。
'* @param[in] T1 基準となる温度を熱力学温度(絶対温度)で指定します。セルシウス度(℃)を熱力学温度に変換する場合は、セルシウス度に273.15を加算して下さい。
'* @param[in] T2 比較する温度を熱力学温度(絶対温度)で指定します。セルシウス度(℃)を熱力学温度に変換する場合は、セルシウス度に273.15を加算して下さい。
'* @param[in] Ea 'Ea 1molあたりの活性化エネルギーを指定します。単位はJ/molです。
'* @return Double 化学反応速度の比率を返します。
'* @details
'*
Public Function ARRHENIUSRATIO(ByVal T1 As Double, ByVal T2 As Double, ByVal Ea As Double, Optional ByVal EaUnits As Long = 1) As Variant
Const RInv As Double = 1 / 8.31446261815324 '気体定数の逆数
Const KBInv As Double = 1 / (1.380649 * 10 ^ (-23)) 'ボルツマン定数の逆数

    Dim c As Double
    
    Select Case (EaUnits)
    Case 1: c = RInv
    Case 2: c = KBInv
    Case Else
        ARRHENIUSRATIO = CVErr(2036) '#NUM!
        Exit Function
    End Select

    ARRHENIUSRATIO = Exp(Ea * c * (1 / T1 - 1 / T2))
End Function

使用例

医薬品の安定性試験の反応速度

ある医薬品の安定性試験における、25℃(長期保存試験)と40℃(加速試験)の反応速度の比率を求めてみます。この際、ある医薬品の活性化エネルギーは22.1kcal/molとします。

まず、ARRHENIUSRATIO関数に指定する温度の単位は熱力学温度なので、各試験条件の温度に273.15を加算します(25 + 273.15及び40 + 273.15)。

次に、ARRHENIUSRATIO関数に指定する活性化エネルギーの単位はジュールですので、kcal(キロカロリー)をジュールに変換する必要があります。ジュールをカロリーに変換する係数は、旧計量法より4.184とします。また、補助単位k(キロ)が付いているので、1000倍します。

以上より、数式は下記のようになります。

=ARRHENIUSRATIO( 25+273.15, 40+273.15, 22.1 * 4.184 * 1000)

この数式の結果は5.97となります。加速試験6箇月が長期保存試験36箇月に相当しますが、その比率は6倍です。この結果より、医薬品の安定性試験条件は、活性化エネルギーが22.1kcal/molと仮定して設定されていることが分かります。なお、同じ条件で25℃と60℃(熱苛酷試験)の反応速度比を算出場合は、下記の数式となります。

=ARRHENIUSRATIO( 25+273.15, 60+273.15, 22.1 * 4.184 * 1000)

この数式の結果は50.34となります。つまり、25℃の36箇月は、60℃で21.75日(21日と18時間)、約3週間に相当します。

なお、これらの比率はあくまで活性化エネルギーが22.1kcal/molであることを前提としておりますので、各自の実験に適用できるかはよく考えてから使用してください。

ソースコードの利用について

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